2023年04月17日
筑後川水系12基を巡る~6基めのダム・合所ダム見学編
九州一でっかい筑後川、筑後川水系のダムを巡る6基めのダム、
合所ダム(1993完成完成/工事開始1972)
管理開始が平成6年(1994)ということなので、管理開始から来年30周年
おー、おめでたい
そんな節目の前年に、合所ダムの事を紹介できるなんて光栄です。
この機会に、合所ダムの事を知っていただけたら嬉しいですね。

合所ダムは、平成6年から運用のロックフィルダム(型式)
ロックフィルダムは、中心部を水を通しにくい粘土質の土(コア)、その両脇を砂や砂利、岩石(ロック)の構造をもつダム
重力式コンクリートダムより床面積を広く使う事で、堤体にかかる水圧を広い床面積に伝えて抑えることが可能になり
コンクリートダムと違い地盤が強固でない場所に建設が可能です。
(藤波ダム、寺内ダムなどと同じです)

頂いた資料より
合所ダムは、農水省管轄のダム
(下筌ダム松原ダムは、国土交通省管轄のダム)
福岡県が委託管理をし、耳納山麓土地改良区の職員の方も常駐されています。
目的は、水田への用水補給、農用地への畑地かんがい用水
並びに、福岡地区水道事業団(福岡都市圏の6市7町1企業団1事務組合)、福岡県南水道事業団(久留米市、大川市、筑後市、城島町、大木町、三潴町、北野町の3市4町)の水道水に使用されています。
◦歴史的背景
合所ダム建設の歴史的背景を私なりに調べていたら、有名な五人庄屋の話に辿り着きました。
吉井町(うきは市)、田主丸町(久留米市)は、筑後川より土地が高く水の恩恵を受けにくかった
そこで、水不足に苦しむ農民の為に「なんとか目の前の水(筑後川の水)を引いて来れないかと命や私財を投げ打った五人庄屋の話はよく耳にするお話です(現在の大石堰)
詳しくは、うきは市HP→「https://ukihalove.jp/contents/ooishiseki/」
そして現代、
従来の水源は、筑後川及び、ポンプ揚水、渓流水、ため池などでしたが、流量が不安定で用水不足に悩まされていた為に
水田用水の安定確保の為に導入された耳納山麓農業水利事業(国営農業事業)を行う
(昔も現代も、いかに水を安定して供給(利用)するか悩まれていたんですね)
合所ダムで溜めて水を下流の堰で取水する
近隣に11あった堰を統合して隈上頭首工(合所ダム下流)にまとめて、一括管理することで取水した水を安定して供給することが可能となる

隈上頭首工

又、夜明ダムの上流から筑後川の取水を行い隈上頭首工から取水することで取水量の安定へ
(なるほど、夜明ダムが調整の役割をしている前回の話と繋がるわけですね
夜明ダムの上流から筑後川の水を取水しているのですが、耳納山麓土地改良区取水の権利の中で
季節や合所ダムの貯水量の関係などで取水量が日々変化することが考えられます。
夜明ダムでも、耳納山麓土地改良区の取水量は把握できる(数値化)ようになっていて
夜明ダムが、下流の調整の役割を担っている(詳しくは、夜明ダム編へ)

そして、トンネル式幹線水路を使って取水した水を受給される農家さんへ送る

総延長27,100mに及ぶ幹線水路の整備
なんと道の駅久留米あたりまで、耳納連山の山麓を210号線と山の間を平行するように作られてます。
耳納山麓の平坦部(主に水路の210号側)では、米、麦、野菜、花
山麓部(主に水路の山側)では、柿やブドウ、梨などの生産
耳納山麓の繁栄を陰で支えていると言っていいのではないでしょうか
五人庄屋から、現代は・・・・・
(このあたりのお話って、地域の小学校の授業の教材に最適ではないでしょうか)
今回もいろいろ気になることを質問させて頂きました。
◦近年の雨の降り方について(大山ダムでは、令和元年、令和3と雨量が少なく筑後川へ補給した話など出ていましたが、
合所ダムで、何かそういった事例はありますか?
合所ダムは、大山ダムと違いダムの目的(役割)に河川の維持流量がありませんので、筑後川へ補給は行っていません(ですね)

(流域面積は寺内と江川の間で、湛水面積は江川寺内より狭い)
合所ダムは、流域面積がわりと広く、湛水面積(水面が土地に接する線によって囲まれる面積)があまり大きくはない
どういうことかというと、雨が降り降った時のダム湖へ流れ込む面積(流域面積)が広く、ダム湖の水を溜める面積(たんすい面積)はそこまで大きくないから
一回雨が降るとダム湖に溜まりやすい。
ですので、しばらく雨が降らなくて貯水量が減っても一回の雨で回復(溜まり)しやすいダム
その反面、近年、大雨の対応に神経を使うことが多くなったと話されています。
◦大雨の対応(筑後川治水協定について)

合所ダムは、利水のダムですので
藤波や、寺内みたいに、大雨が降った時に、溜める容量を予め確保していません が、
令和2年、近年の大雨に対応する為に、合所ダムでも筑後川治水協定が策定されました。
治水協定の基準に基づき、降雨雨量が一定量を超える場合に
利水容量を減らして洪水調節容量を確保する為に目標限度水位まで事前に放流し水位を下げること
過去に、条件に当てはまるのが2度あり
令和3年は事前放流を行う、令和4年は目標限度水位より貯水量が下回っていたので事前放流の必要なし
課題は、合所ダムは利水のダム
農家さんが必要としている大切な水を事前放流し水位を下げるので
空振りに終わり貯水量が回復しないと必要としている農家さんが困るということではないでしょうか
又、ゲートの位置より水位を下げる設備が利水放流バルブしかなく
放流バルブを使って、数日前から事前放流し水位を低下させることは
設備の問題もあり、簡単ではないのではないでしょうか
(急に大雨が降るとわかっても、放流バルブの能力的にすぐには水位を下げることが難しい)
合所ダムからの事前放流や放流の通知は、サイレンなどの設備による通知の他に関係市町村へ事前に連絡されています。
関係市町村から市民への通知手段は市町村により様々です。
ダムの通知が我々にどう届くのか、市町村で行われている防災セミナーなどで関係市町村へご確認ください。
(情報の伝わり方って実は、みな平等ではないんですよね)
外出時などは情報が速やかに見れずに避難が遅れるケースも考えられます。
そういったケースも想定しておくと安心です
こちらのアプリは、私も入れてますが優秀です。

お近くの河川を登録しておくと、氾濫危険水位などの基準に達するとメールが届きます。
(登録は、数分で済みますので登録をお勧めします)
詳しくは、別途、詳しく解説してます→「https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2331208.html」
先程のアプリを入れて余裕がある時は、川の防災により
リアルタイム情報(ライブカメラ、水位情報)など見ると
心に余裕が持てますよ(私の経験上)
川の防災(国土交通省)→「https://www.river.go.jp/portal/?region=89&contents=」
ではでは、設備の説明と監査廊へ

操作室

ダムの情報(貯留量、水位、放流量)、観測地点の雨量、予測など

洪水吐流入部の導流壁
私の好きな萌えポイント!この曲がり具合がいい(笑)

役割は、放流時に水の流れがスムーズに放流できるようにとのこと
導流壁がないと水がぶつかりスムーズに流れない

コンクリートダムの場合は、スムーズに水が流れやすい中央にゲートがあることが多いが(松原ダムなど)
ロックフィルダムの場合は、強度の関係から中央ではなく左右に位置する場合が多く
合所の場合は、ゲートが左岸に位置している為に水の流れをスムーズにするために導流壁を設置
(あ、そういえば寺内にもあったなぁーと思い出す)

寺内ダムの導流壁
寺内ダムの場所は、平常時最高水位より上がゲート放流をする水位だから我々が目にする光景は、水に浸かってない光景
寺内は好きでも、私が萌えるのは合所の導流壁(笑)合所の萌え萌えポイント(わかる人いるかなぁー、笑)

今回、ゲート室などの見学はしてないので
頂いた資料を添付




(利水放流バルブからの放流)
車で下流の監査廊へ

立ち入り禁止エリア(直下より)
実は、合所の監査廊が面白いんです!特徴的

ざっくり説明しますと
ロックフィルダムの監査廊の場合は、基礎地盤を均して
基礎地盤の上に箱型のコンクリート構造物(コンクリートカルバート)を設置をして
その上に粘土質の土(コア)や岩などを積み上げる工法が多いが

合所ダムの場合、基礎地盤の強度を検査したところ、ひび割れやジョイントのひらきが予想された為に監査廊を造る工法を変更し

基礎掘削面の下15mに監査廊が位置するように、トンネル工事などで行われるNATM(ナトム)工法で掘りながら監査廊が作られています。(かなり珍しいみたいです)
岩盤の強度を利用し、鉄筋で支えとした工法で
在来工法が木の板を使用、NATM工法がボルトを使用

ですので、合所ダムの監査廊は基礎地盤の下を目指していきなり降ります

下から監査廊入口を眺める

そして曲がる
僕自身、ダムの監査廊は一桁しか経験してませんが
独特で不思議な感覚でした。

寺内ダム(ロックフィルダム)の場合は、入り口から水平にストレートに伸びている)

合所の場合は、右岸の道路がある岩盤に向かって監査廊が伸び下り、曲がってます


赤の線が監査廊(道路が通ってる山の岩盤に向かって行き曲がってます)

でさらに、当初の計画では中心遮水ゾーン型を予定していたが
基礎岩盤掘削後の検査結果を元に「中心遮水」から「傾斜遮水ゾーン型」に変更されたみたいです。
マニアックな話になるので、ざっくり解説しましたが興味がある方は、土木工学会のページをどーぞ
→「http://jsde.jp/genchi/33_genchi_repo_fujinami+gousyo.htm?fbclid=IwAR08efweE4d0Lwj6qkynbx-bvTZsDOKxYY8yINSFs0A4NnC4qcLZJMwcJdE」

合所ダムの監査廊は、エアポンプが付いていて二酸化炭素を外に吸い出してます。

職員さんも探知機を付けて点検されてます(初めての経験)

これは、監査廊の奥が行き止まりなので空気の流れがないためです。
通常は、点検しやすいように監査廊から管理所へ繋がってることが多いので空技の流れがあったり

松原ダムの空気穴
松原ダムなどコンクリートダムの場合は、ゲート室と監査廊が繋がっている場合があり
空気の流れをさらによくするために、空気穴があったりします(松原ダム編をみてね)

ぜひ、寺内ダムの監査廊と合所の監査廊を体験して見比べて頂きたいが、なかなか見学できないのが残念

ひび割れや開きがないか計器がうめこまれて観測しています

間隙水圧、堤体の中の圧力を図る機器(ほとんどの計器が埋没式でした)

ダムの設計上の重要な基準線のことです

監査廊に、漏水、浸水してきた水の量を定期的に計り、異常がないか計測をしポンプで排出します
◦合所ダムの入り口に「関係者以外立ち入り禁止」の看板があるが
立ち入ったら怒られるのか?との質問をさせていただきました。
怒りはしないです。と
ただ、気軽にダムと触れ合うことを想定していないなのでー
、、、、と
寺内ダム、江川ダム、小石原川ダムですと、気軽に散歩やダムに訪れるなどされてるのですが
そういったことをあらかじめ想定しているが
合所の場合は、そういったことを想定しておらず、柵などの安全対策が来場を想定されて作られてないので、柵がない場所などもあるみたいです。
ですので、安全を維持するために立ち入り禁止の看板を立てる必要があったのではないでしょうか(私の解釈ですが)

ただし、管理所の扉に合所ダムの理解に繋がればとの考えからパンフレットを設置しています(ダムカードはない)
パンフレットを頂きに来られる場合は、安全に気をつけて来所くださいとのことです。
事故やトラブルが起きると、完全に侵入禁止、シャットアウトになりかねないので、
合所ダムに立ち寄られる際は、管理の迷惑にならないように訪れましょう

又、今回のダムの見学に伴い合所ダムペーパークラフトを制作されてました

今回、特別に頂きました
今後、地域の小学校などの見学などの記念品として登場するかもです。
お楽しみに

又、合所ダムに訪れの際は上流に位置する里楽(りらく)さんへお立ち寄りくださいませ

こちらでは、合所ダム箸置き、藤波ダム箸置き(施工主、藤吉窯)の委託販売を行なっています。
僕の好きな導流壁も再現されてます!!萌え萌え
一人で営業されてますので、ご予約、在庫の確認をされてください。
又、合所ダム下流にある林さん亭さん

こちらには、古墳丼(古墳カード提示の方のみ注文できる裏メニューとのこと)があります。
残念ながら、合所ダム丼はなかったなぁぁぁぁ
今後の予定
次回は、藤波ダム(うきは市)を見学して5月にアップします。
お楽しみに!
へーと思ったところとか教えてくれたらうれしいです
⭐︎九州地方整備局と筑後川ダム統合管理所編→「https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2322800.html」
⭐︎下筌ダムと洪水調節の見学編
→「https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2322994.html」
⭐︎松原ダム見学の模様と弾力的管理の話(利水)の見学編→「https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2323152.html」
⭐︎大山ダムダム見学編(2月見学→「https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2324776.html」
基本的には、聞いた話をかみ砕いてわかりやすく説明をし
ちょっとダムに行ってみようか!!と思っていただける内容を目指しています。
ここでは書ききれなかった内容もありますので、ぜひ管理所を訪れてみてみてください。
⭐︎見学に関して協力
国土交通省九州地方整備局・筑後川河川事務所様
水資源機構(筑後川局、筑後川下流総合管理所、筑後川上流総合管理所)様
合所ダム管理所(福岡県)様、藤波ダム管理所様(福岡県)
夜明ダム管理所様(九州電力)
ご協力感謝致します。
日本ダム協会認定 ダムマイスター
朝倉市3ダム愛好家 三ちゃん
ぷちっと、協力おねがいします

地域情報ランキング
ダムマイスター、ダム、朝倉市、筑後川、土木
合所ダム(1993完成完成/工事開始1972)
管理開始が平成6年(1994)ということなので、管理開始から来年30周年
おー、おめでたい
そんな節目の前年に、合所ダムの事を紹介できるなんて光栄です。
この機会に、合所ダムの事を知っていただけたら嬉しいですね。

合所ダムは、平成6年から運用のロックフィルダム(型式)
ロックフィルダムは、中心部を水を通しにくい粘土質の土(コア)、その両脇を砂や砂利、岩石(ロック)の構造をもつダム
重力式コンクリートダムより床面積を広く使う事で、堤体にかかる水圧を広い床面積に伝えて抑えることが可能になり
コンクリートダムと違い地盤が強固でない場所に建設が可能です。
(藤波ダム、寺内ダムなどと同じです)

頂いた資料より
合所ダムは、農水省管轄のダム
(下筌ダム松原ダムは、国土交通省管轄のダム)
福岡県が委託管理をし、耳納山麓土地改良区の職員の方も常駐されています。
目的は、水田への用水補給、農用地への畑地かんがい用水
並びに、福岡地区水道事業団(福岡都市圏の6市7町1企業団1事務組合)、福岡県南水道事業団(久留米市、大川市、筑後市、城島町、大木町、三潴町、北野町の3市4町)の水道水に使用されています。
◦歴史的背景
合所ダム建設の歴史的背景を私なりに調べていたら、有名な五人庄屋の話に辿り着きました。
吉井町(うきは市)、田主丸町(久留米市)は、筑後川より土地が高く水の恩恵を受けにくかった
そこで、水不足に苦しむ農民の為に「なんとか目の前の水(筑後川の水)を引いて来れないかと命や私財を投げ打った五人庄屋の話はよく耳にするお話です(現在の大石堰)
詳しくは、うきは市HP→「https://ukihalove.jp/contents/ooishiseki/」
そして現代、
従来の水源は、筑後川及び、ポンプ揚水、渓流水、ため池などでしたが、流量が不安定で用水不足に悩まされていた為に
水田用水の安定確保の為に導入された耳納山麓農業水利事業(国営農業事業)を行う
(昔も現代も、いかに水を安定して供給(利用)するか悩まれていたんですね)
合所ダムで溜めて水を下流の堰で取水する
近隣に11あった堰を統合して隈上頭首工(合所ダム下流)にまとめて、一括管理することで取水した水を安定して供給することが可能となる

隈上頭首工

又、夜明ダムの上流から筑後川の取水を行い隈上頭首工から取水することで取水量の安定へ
(なるほど、夜明ダムが調整の役割をしている前回の話と繋がるわけですね
夜明ダムの上流から筑後川の水を取水しているのですが、耳納山麓土地改良区取水の権利の中で
季節や合所ダムの貯水量の関係などで取水量が日々変化することが考えられます。
夜明ダムでも、耳納山麓土地改良区の取水量は把握できる(数値化)ようになっていて
夜明ダムが、下流の調整の役割を担っている(詳しくは、夜明ダム編へ)

そして、トンネル式幹線水路を使って取水した水を受給される農家さんへ送る

総延長27,100mに及ぶ幹線水路の整備
なんと道の駅久留米あたりまで、耳納連山の山麓を210号線と山の間を平行するように作られてます。
耳納山麓の平坦部(主に水路の210号側)では、米、麦、野菜、花
山麓部(主に水路の山側)では、柿やブドウ、梨などの生産
耳納山麓の繁栄を陰で支えていると言っていいのではないでしょうか
五人庄屋から、現代は・・・・・
(このあたりのお話って、地域の小学校の授業の教材に最適ではないでしょうか)
今回もいろいろ気になることを質問させて頂きました。
◦近年の雨の降り方について(大山ダムでは、令和元年、令和3と雨量が少なく筑後川へ補給した話など出ていましたが、
合所ダムで、何かそういった事例はありますか?
合所ダムは、大山ダムと違いダムの目的(役割)に河川の維持流量がありませんので、筑後川へ補給は行っていません(ですね)

(流域面積は寺内と江川の間で、湛水面積は江川寺内より狭い)
合所ダムは、流域面積がわりと広く、湛水面積(水面が土地に接する線によって囲まれる面積)があまり大きくはない
どういうことかというと、雨が降り降った時のダム湖へ流れ込む面積(流域面積)が広く、ダム湖の水を溜める面積(たんすい面積)はそこまで大きくないから
一回雨が降るとダム湖に溜まりやすい。
ですので、しばらく雨が降らなくて貯水量が減っても一回の雨で回復(溜まり)しやすいダム
その反面、近年、大雨の対応に神経を使うことが多くなったと話されています。
◦大雨の対応(筑後川治水協定について)

合所ダムは、利水のダムですので
藤波や、寺内みたいに、大雨が降った時に、溜める容量を予め確保していません が、
令和2年、近年の大雨に対応する為に、合所ダムでも筑後川治水協定が策定されました。
治水協定の基準に基づき、降雨雨量が一定量を超える場合に
利水容量を減らして洪水調節容量を確保する為に目標限度水位まで事前に放流し水位を下げること
過去に、条件に当てはまるのが2度あり
令和3年は事前放流を行う、令和4年は目標限度水位より貯水量が下回っていたので事前放流の必要なし
課題は、合所ダムは利水のダム
農家さんが必要としている大切な水を事前放流し水位を下げるので
空振りに終わり貯水量が回復しないと必要としている農家さんが困るということではないでしょうか
又、ゲートの位置より水位を下げる設備が利水放流バルブしかなく
放流バルブを使って、数日前から事前放流し水位を低下させることは
設備の問題もあり、簡単ではないのではないでしょうか
(急に大雨が降るとわかっても、放流バルブの能力的にすぐには水位を下げることが難しい)
合所ダムからの事前放流や放流の通知は、サイレンなどの設備による通知の他に関係市町村へ事前に連絡されています。

ダムの通知が我々にどう届くのか、市町村で行われている防災セミナーなどで関係市町村へご確認ください。
(情報の伝わり方って実は、みな平等ではないんですよね)
外出時などは情報が速やかに見れずに避難が遅れるケースも考えられます。
そういったケースも想定しておくと安心です
こちらのアプリは、私も入れてますが優秀です。

お近くの河川を登録しておくと、氾濫危険水位などの基準に達するとメールが届きます。
(登録は、数分で済みますので登録をお勧めします)
詳しくは、別途、詳しく解説してます→「https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2331208.html」
先程のアプリを入れて余裕がある時は、川の防災により
リアルタイム情報(ライブカメラ、水位情報)など見ると
心に余裕が持てますよ(私の経験上)
川の防災(国土交通省)→「https://www.river.go.jp/portal/?region=89&contents=」
ではでは、設備の説明と監査廊へ

操作室

ダムの情報(貯留量、水位、放流量)、観測地点の雨量、予測など

洪水吐流入部の導流壁
私の好きな萌えポイント!この曲がり具合がいい(笑)

役割は、放流時に水の流れがスムーズに放流できるようにとのこと
導流壁がないと水がぶつかりスムーズに流れない

コンクリートダムの場合は、スムーズに水が流れやすい中央にゲートがあることが多いが(松原ダムなど)
ロックフィルダムの場合は、強度の関係から中央ではなく左右に位置する場合が多く
合所の場合は、ゲートが左岸に位置している為に水の流れをスムーズにするために導流壁を設置
(あ、そういえば寺内にもあったなぁーと思い出す)

寺内ダムの導流壁
寺内ダムの場所は、平常時最高水位より上がゲート放流をする水位だから我々が目にする光景は、水に浸かってない光景
寺内は好きでも、私が萌えるのは合所の導流壁(笑)合所の萌え萌えポイント(わかる人いるかなぁー、笑)

今回、ゲート室などの見学はしてないので
頂いた資料を添付




(利水放流バルブからの放流)
車で下流の監査廊へ

立ち入り禁止エリア(直下より)
実は、合所の監査廊が面白いんです!特徴的

ざっくり説明しますと
ロックフィルダムの監査廊の場合は、基礎地盤を均して
基礎地盤の上に箱型のコンクリート構造物(コンクリートカルバート)を設置をして
その上に粘土質の土(コア)や岩などを積み上げる工法が多いが

合所ダムの場合、基礎地盤の強度を検査したところ、ひび割れやジョイントのひらきが予想された為に監査廊を造る工法を変更し

基礎掘削面の下15mに監査廊が位置するように、トンネル工事などで行われるNATM(ナトム)工法で掘りながら監査廊が作られています。(かなり珍しいみたいです)
岩盤の強度を利用し、鉄筋で支えとした工法で
在来工法が木の板を使用、NATM工法がボルトを使用

ですので、合所ダムの監査廊は基礎地盤の下を目指していきなり降ります

下から監査廊入口を眺める

そして曲がる
僕自身、ダムの監査廊は一桁しか経験してませんが
独特で不思議な感覚でした。

寺内ダム(ロックフィルダム)の場合は、入り口から水平にストレートに伸びている)

合所の場合は、右岸の道路がある岩盤に向かって監査廊が伸び下り、曲がってます


赤の線が監査廊(道路が通ってる山の岩盤に向かって行き曲がってます)

でさらに、当初の計画では中心遮水ゾーン型を予定していたが
基礎岩盤掘削後の検査結果を元に「中心遮水」から「傾斜遮水ゾーン型」に変更されたみたいです。
マニアックな話になるので、ざっくり解説しましたが興味がある方は、土木工学会のページをどーぞ
→「http://jsde.jp/genchi/33_genchi_repo_fujinami+gousyo.htm?fbclid=IwAR08efweE4d0Lwj6qkynbx-bvTZsDOKxYY8yINSFs0A4NnC4qcLZJMwcJdE」

合所ダムの監査廊は、エアポンプが付いていて二酸化炭素を外に吸い出してます。

職員さんも探知機を付けて点検されてます(初めての経験)

これは、監査廊の奥が行き止まりなので空気の流れがないためです。
通常は、点検しやすいように監査廊から管理所へ繋がってることが多いので空技の流れがあったり

松原ダムの空気穴
松原ダムなどコンクリートダムの場合は、ゲート室と監査廊が繋がっている場合があり
空気の流れをさらによくするために、空気穴があったりします(松原ダム編をみてね)

ぜひ、寺内ダムの監査廊と合所の監査廊を体験して見比べて頂きたいが、なかなか見学できないのが残念

ひび割れや開きがないか計器がうめこまれて観測しています

間隙水圧、堤体の中の圧力を図る機器(ほとんどの計器が埋没式でした)

ダムの設計上の重要な基準線のことです

監査廊に、漏水、浸水してきた水の量を定期的に計り、異常がないか計測をしポンプで排出します
◦合所ダムの入り口に「関係者以外立ち入り禁止」の看板があるが
立ち入ったら怒られるのか?との質問をさせていただきました。
怒りはしないです。と
ただ、気軽にダムと触れ合うことを想定していないなのでー
、、、、と
寺内ダム、江川ダム、小石原川ダムですと、気軽に散歩やダムに訪れるなどされてるのですが
そういったことをあらかじめ想定しているが
合所の場合は、そういったことを想定しておらず、柵などの安全対策が来場を想定されて作られてないので、柵がない場所などもあるみたいです。
ですので、安全を維持するために立ち入り禁止の看板を立てる必要があったのではないでしょうか(私の解釈ですが)

ただし、管理所の扉に合所ダムの理解に繋がればとの考えからパンフレットを設置しています(ダムカードはない)
パンフレットを頂きに来られる場合は、安全に気をつけて来所くださいとのことです。
事故やトラブルが起きると、完全に侵入禁止、シャットアウトになりかねないので、
合所ダムに立ち寄られる際は、管理の迷惑にならないように訪れましょう

又、今回のダムの見学に伴い合所ダムペーパークラフトを制作されてました

今回、特別に頂きました
今後、地域の小学校などの見学などの記念品として登場するかもです。
お楽しみに

又、合所ダムに訪れの際は上流に位置する里楽(りらく)さんへお立ち寄りくださいませ

こちらでは、合所ダム箸置き、藤波ダム箸置き(施工主、藤吉窯)の委託販売を行なっています。
僕の好きな導流壁も再現されてます!!萌え萌え
一人で営業されてますので、ご予約、在庫の確認をされてください。
又、合所ダム下流にある林さん亭さん

こちらには、古墳丼(古墳カード提示の方のみ注文できる裏メニューとのこと)があります。
残念ながら、合所ダム丼はなかったなぁぁぁぁ

次回は、藤波ダム(うきは市)を見学して5月にアップします。
お楽しみに!

⭐︎九州地方整備局と筑後川ダム統合管理所編→「https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2322800.html」
⭐︎下筌ダムと洪水調節の見学編
→「https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2322994.html」
⭐︎松原ダム見学の模様と弾力的管理の話(利水)の見学編→「https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2323152.html」
⭐︎大山ダムダム見学編(2月見学→「https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2324776.html」
基本的には、聞いた話をかみ砕いてわかりやすく説明をし
ちょっとダムに行ってみようか!!と思っていただける内容を目指しています。
ここでは書ききれなかった内容もありますので、ぜひ管理所を訪れてみてみてください。
⭐︎見学に関して協力
国土交通省九州地方整備局・筑後川河川事務所様
水資源機構(筑後川局、筑後川下流総合管理所、筑後川上流総合管理所)様
合所ダム管理所(福岡県)様、藤波ダム管理所様(福岡県)
夜明ダム管理所様(九州電力)
ご協力感謝致します。
日本ダム協会認定 ダムマイスター
朝倉市3ダム愛好家 三ちゃん


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Posted by さんちゃん at 13:03│Comments(0)
│筑後川と流域のこと
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