筑後川水系12基を巡る~7基めのダム・藤波ダム見学編

さんちゃん

2023年05月29日 17:11

九州一でっかい筑後川、筑後川水系のダムを巡る7基めのダム、藤波ダム(筑後川水系、巨瀬川)


藤波ダム(平成14年本体着工、平成22年本格運用)、福岡県が管理をしています
型式は、ロックフィルダム
ロックフィルダムは、中心部を水を通しにくい粘土質の土(コア)、その両脇を砂や砂利、岩石(ロック)の構造をもつダム
重力式コンクリートダムより床面積を広く使う事で、堤体にかかる水圧を広い床面積に伝えて抑えることが可能になり
コンクリートダムと違い地盤が強固でない場所に建設が可能です(合所ダム、寺内ダムなどと同じです)



合所ダムや寺内ダムと違うのは、藤波ダムはゲートがないダム

ね、ゲートがないでしょー
愛好家になってすぐのころ、ゲートがないダムがあるんだぁー
どうなってんだぁー、とびっくりした次第です。

ゲートがないダムは、筑後川水系ですと大山ダムと同じなんですが
大山ダム(重力式コンクリートダム)みたいにロックフィルダムは、強度の関係で堤体の中に穴を開ける事ができないので(上部にしかできない)


放流する設備(洪水吐)は、非常用洪水吐と常用洪水吐の一体型が設置されています(奥に見える四角い空間が常用洪水吐)


自然調整方式:常用洪水吐と非常用洪水吐と高さがちがう放流設備、その水位になると越流し自動的に放流します。
人の手による放流の操作を行いません

藤波ダムは、上流からの流入量(洪水量)が60m³/s 以上あると洪水調節に入り、
ダム湖に上流からの流入量を溜めながら、放流量をカットして常用洪水から越流(放流)します
(下流の巨瀬川の水位上昇の低減に努めます)

今回は特別に巡視艇からのレアスポット

今回の私の萌え萌えスポット、笑
ローマの宮殿ぼくないです?笑

もう少し水位が上がると、常用洪水吐から越流(放流)します。

⚪︎歴史的背景


藤波ダム下流の巨瀬川は、うきは市、久留米市と流れて筑後川へ合流します


巨瀬川流域は、古くからしばしば洪水に見舞われ
特に、S28、筑後川大水害では24時間雨量、401mm(最大雨量43.2mmを計測)し甚大な被害をもたらしました。

その後、河川改修を行うのですが、S48.6月豪雨では床上床下の浸水被害にあい
その被害をうけて、同年、藤波ダムの予備調査に入り
H21.試験湛水、H22竣工(本格運用)
筑後川水系では、割と新しいダムになります。

⚪︎ダムの目的は、
洪水被害の低減(洪水調節)が大きい役割(目的)となります。

他に、河川環境の保全(維持)を目的とした放流と
河川環境の保全の放流水を活用した発電
こちらは、うきは市さんの発電となります



河川環境の保全(維持)の流量もきめられていまして、
11月~6/9までの非かんがい期は、0.15㎥/s
6/10からのかんがい期(田植えシーズン)は、0.575㎥/s なんですが


この河川環境保全の放流水を選択取水設備から取水し
うきは市さんの発電に使用していますので、少しでも多い方がいいだろうとのことで
可能な範囲で、維持流量より少しでも多めに放流して売電(うきは市)できるようにと思ってます。と藤波ダムの職員様
(流入量と同等に近い数字と思われます)

うきは市役所様にも話を聞きに伺いましたので後半へアップしますね。

⚪︎過去の事例

管理開始から、1番水位が上がったのは平成24の九州北部豪雨


わたし、朝倉の人間なので北部豪雨と聞くとH29の九州北部豪雨と勘違いしましたが
平成24、7月11日から14日にかけて、暖かく湿った空気が流れ込み、発達した雨雲が次々と連なる線状降水帯が発生

(藤波ダム管理所様より、当時のハイドログラフ)

頂いた資料によると、平成24年7月14日、ダム湖へ貯留により、最大流入時に約250m3/s減らして下流へ放流
当時の資料によると、藤波ダムから下流の樋の口橋水位局地点で約1.3mの水位を低下
させたと推定されたみたいです



1.3m低減というと、大したことないように感じますが
仮に当時、氾濫判断水位2.20mだったとすると3.50mから低減したことになる 



(藤波ダム管理所様より、当時の写真を提供)

洪水調節により、ダム湖の水位が8.47mまで上がりましたが、非常用洪水吐からの越流まで3.5mほど余裕がありました


藤波ダムの能力的には、まだ余裕があるみたいなんですが(私の解釈)
非常用洪水吐から越流するケースが発生した場合は、巨瀬川の氾濫の危険、すでに氾濫の可能性が高いと思われます。

近年の大雨の事例をみても、巨瀬川は氾濫危険水位になることもしばしば見受けれます。
河川の水位情報を速やかに入手できる方法を確認されて、藤波ダムががんばってる間に早めの避難に繋げて頂けたらと思います。

氾濫危険水位に達する可能性が高くなるとメディア等の緊急速報で通知されますが
この九州地方整備局が発案されたこの通知アプリは、その前の段階から通知も可能です。


私も、入れてますが登録した河川の水位があがるなどすると携帯にメールが届くので
メディア等を見れない場所、外出や就寝時などにも通知が届いて安心です
(必要とする河川のみ届くのでストレスがないです)

詳しくは、こちらに河川情報アラームを解説してます
https://asakurashi3dam.yoka-yoka.jp/e2331208.html

又、川の防災で水位、ライブカメラなどで自らチェックすると心に余裕が持てて安心です
(慌てなくてよくなります)←私の経験上です。
川の防災→
https://www.river.go.jp/kawabou/pc/ov?zm=12&clat=33.32642774260965&clon=130.8024989391277&area=89&fld=0&type=damdsch&mapType=0&viewGrpStg=0&viewRd=1&viewRW=1&viewRiver=1&viewPoint=1&pref=4001 」

今回、詳しいプレスリリース等が、見当たらなかったのですが、藤波ダムの洪水調節の効果と下流域の被害情報等を合わせて
こんだけ藤波ダム、がんばったんだぜー(みたいなプレスリリース等)
一般の方が広く見れるような物(プレスリリース、HP)があれば
藤波ダムへの理解と防災意識の向上に繋がるのではないかと感じました。

⚪︎筑後川治水協定について
藤波ダムには200万㎥の洪水調節容量があります。
降雨予測から計算して、200万㎥では足りないと判断した時に、事前放流し容量をさらに確保します。
過去には事例はなし

藤波ダムは、洪水調節が大きな役割で作られていて洪水調節容量がダムの容量の多くを占めるので
事前放流するケースはかなり少ないのではないでしょうか

又、事前放流を行うとしても水位を下げる設備が利水放流バルブしかなく
放流バルブを使って、数日前から事前放流し水位を低下させることは
設備の能力の問題もあり、簡単ではないのではないでしょうか
(急に大雨が降るとわかっても、すぐには水位を下げることが難しい)

事前放流や越流(放流)の通知は、サイレン、警告等の他に
市町村へホットラインにて、越流予定3時間前、越流予定1時間前、越流開始時に通知されています。
行政から市民への防災の通知手段は、市町村によりさまざまです。
防災セミナー等でご確認くださいませ


余談ですが、
しばしば、私は大雨時の勤務体制の質問をします。
それは、河川管理、ダム管理、我々の生活を陰で支えてくれてる人たちがいる。
機械ではなく、人々が支えてくれてる
大雨になると、呼び出しがあり、河川、ダムの管理に努めてある。
そういうのがわかると、感謝したり、早めの避難に繋がるのではないかとの思いもあり聞いてます。

藤波ダムの場合は、水位が上がってくると自動呼び出しメールで携帯に連絡が届き職員の方は防災体制に入るそうです。
ゲートレスのダムなので、職員の方によるゲートの操作等はないのですが巡回など行うために6人態勢で臨まれます
過去に管理所に10泊の事例もあるとか・・・・・

そーいえば、今年のゴールデンウィークは筑後川河川管理、ダム管理所の皆様は呼び出しがあったと耳にしました(藤波ダムは不明)

人知れず市民の生活を支えてくれてるんだと、思って頂けたらと思います。
ぜひ、そんな話もダム管理所を訪れた際は質問していただきたいですね。


それでは、見学編へ
今回は、特別見学コースとなります。

まずは管理室へ

雨量、流入量、観測地点の水位、ゲートの水温、警報局のデータなど見れます


見学コースに入ってないかもですが、こうやって管理してるのかぁーとわかるので
ぜひ、見てほしい場所ですねー


今回は、通常の見学コースにない巡視艇により見学となります
インスタのリール動画にてアップしてますので、レアな動画もたのしまれてください
インスタリール、ダム湖編→
https://www.instagram.com/reel/Cs0sAwrgphb/?igshid=MTc4MmM1YmI2Ng==


巡視艇は、手すり部分がスロープになっていて
水位が上がれば巡視艇も上がる仕組みなってます

巡視艇は、月に一度点検のために使用されます


提体の材料につかわれた岩や土は右岸側、少し木々が短い場所から採掘されたとのこと、約100万㎥のロック材を使用


橋を下から、非常用洪水吐のしるしがありました


水位低減バルブ、利水放流バルブ用の設備は3つあり
今の水位(123m)から水深3.6.9mと取水する位置が違うように設置されています

本来は、農作物や下流の生き物に影響がないように水温を見ながら深さを切り替えて取水しますが
発電設備を通すときに水温が適度に温まることから、そのまま下流にながしても影響がないとの判断で
藤波ダムの場合は、基本一番低いバルブを仕様


異物が入らないようにスクリーンがついています


選択取水設備室


常用洪水吐;水位が123mを超えるとちょろちょろと越流していきます
(川の防災で、藤波ダムの水位を確認すると越流しているか判断できます)



天端、洪水吐付近から監査廊へ(立ち入り禁止の施錠された扉の先)
藤波ダムの監査廊も基礎地盤の強度の関係から、右岸側の管理所まで繋げない方がいいだろうとの判断により
左岸側のみの監査廊となっています


青↑が監査廊の通ってる場所イメージ、赤↑が出口


ですので、合所ダム以上に急な階段です。
監査廊の見学は、受け付けてないそうなんですが
階段を下って納得しました。
一般の見学には、不向きかなぁー、滑ったりしたら下までノンストップかなぁー


50mほどくだりまぁーす


くだりまぁーす


合所、藤波の監査廊を連続して体験すると寺内みたいな普通の監査廊がレアなのかと思ってしまう(笑)

ロックフィルダムの監査廊を体験したいときは、寺内ダムへお越しください。
本当は、監査廊を比べてみてほしいのだが(笑)


漏水量の計測器:水圧を図る機器(月に一度図ります)


漏水:監査廊に染み出てくる水の量を排水管を使って送って




染み出ている量を、定期的に測定し異常がないかチェックしています


三角堰にて測定してポンプで排出


ありましたぁ、エアーダクト
空気が薄くなる可能性も考えれますので、と


利水バルブの配管室、うきは市の発電に向かう配管と分離します
(こちらも特別見学でした)


水位低下バルブ、利水専用バルブ

バルブ室の横に、うきは市さんのマークが

(うきは市役所、提供)

うきは市さんが管理をしている発電システムということで、入ることができませんでしたが
うきは市役所ロビーには、発電量をモニター表示していると聞きましたのでうきは市役所へ


九州電力さんへの売電により、年間3.000万ほど売電されてるとのこと
他には、瑞梅寺ダム(福岡県)も糸島市役所さんもやられてるのではないかと聞いてます

市役所のパソコンに放流量の数値が見れるようになっているので
毎日、更新されてるそうです。


(うきは市役所、提供)

業務委託ではなく、市が発電を管理していると知りませんでしたねー。
建設課で、事情を説明して資料を頂きました。

発電設備は、藤波ダム建設後のあと付けとのこと
確か、数年前のダムカードはまだP(発電)のマークがなかったんですよねー


(うきは市役所、提供)

発電室の一般の方の見学も平日ですができますよ!!(職員の勤務に余裕があるときは)
藤波ダム(福岡県管理)の許可もとりますので、一緒に藤波ダムの見学も可能です。と

インフラ施設の発電設備を、見る機会もなかなかないでしょうし
藤波ダムの水をどう有効活用しているのか、藤波ダムの見学と合わせて
ぜひ、見てほしいです
。と

問い合わせは、うきは市役所(建設課)へ


(うきは市役所、提供)


(うきは市役所、提供)


又、藤波ダムに訪れの際は、合所ダムの上流に位置する里楽(りらく)さんへお立ち寄りくださいませ


こちらでは、藤波ダム箸置き、合所ダム箸置き(施工主、藤吉窯)の委託販売を行なっています。

一体型の洪水吐も再現されてますよ!!

一人で営業されてますので、ご予約、在庫の確認をされてください。


このブログは、
基本的には、聞いた話をかみ砕いてわかりやすく説明をし
気軽に、ちょっとダムに行ってみようか!!と思っていただける内容を目指しています。

ここでは書ききれなかった内容もありますので、ぜひ管理所を訪れて
分からないことなど質問してみてみてください。

⭐︎見学に関して協力
国土交通省九州地方整備局・筑後川河川事務所様 
水資源機構(筑後川局、筑後川下流総合管理所、筑後川上流総合管理所)様
合所ダム管理所(福岡県)様、藤波ダム管理所様(福岡県)
夜明ダム管理所様(九州電力)

ご協力感謝致します。

日本ダム協会認定 ダムマイスター
朝倉市3ダム愛好家 三ちゃん


 ぷちっと、協力おねがいします


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